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東京地方裁判所 昭和33年(行)145号 判決

原告 梶野礼次郎 外一三二名

被告 東京都

主文

被告は、原告らに対し、各別表請求金額欄の金員、およびこれに対する昭和三三年八月一三日からその支払をすませる日まで年五分の割合による金員を、それぞれ支払うべし。

訴訟費用は、被告の負担とする。

事実

原告ら訴訟代理人は、主文と、同旨の仮執行宣言つき判決を求め、その請求原因、ならびに被告の抗弁に対する反論として、次のとおり述べた。

一、原告らは、いずれも別表のとおり東京都内の公立学校の教員であるが、その給与は、市町村立学校職員給与負担法第一条により被告が負担することになつていて、昭和三三年七月までは毎月一一日に、同年八月からは毎月一二日に、被告からその月分の支払がなされることになつている。

被告は原告らに対し、昭和三三年八月分の給与を同月一二日に支払うにあたり、原告らの給与から別表請求金額欄の金額をそれぞれ減額して残額のみを支払い、今日まで右減額分の支払をしない。

よつて原告らは被告に対し、それぞれ右給与の未払分(別表請求金額欄の金額。)、およびこれに対する支払日の翌日である昭和三三年八月一三日からその支払をすませる日まで民法に定められた年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二、被告が主張する事実のうち、原告らが被告の教育委員会からあらかじめ平常のとおり勤務するように命じられていたにもかかわらず、平常勤務日である昭和三三年四月二三日に欠勤したことは認める。ところで原告らの右欠勤が無断欠勤にあたるとしてその分の給与を減額するには、同年四月分の給与からすべきであつて、同月分の給与をすでに全額支払つてしまつたからといつて、勝手に同年八月分の給与から減額するということは許されない。なぜなら、原告らに対する同年八月分の給与は、原告らの八月中の勤務に対して全額支払われなければならないものであつて、同年四月分の給与の過払分を減額して支払うことは、それ自体労働基準法第二四条第一項により禁止されているところであり、またそのような減額が同年四月二三日の無断欠勤分の給与の返還債権を自働債権とし、同年八月分の給与債権を受働債権とする相殺にほかならないとしても、やはり同様に同条項により禁止されていると見るべきだからである。

三、なお被告は、同年四月二三日の無断欠勤を事由とする給与の減額を、同年八月分の給与から行うことが許されてよいことの理由として四点を挙げているが、いずれも理由がない。

すなわち、

(イ)、無断欠勤日の前にすでにその月分の給与が支払われてしまているような場合でも、過払分はあとで返還を求めうるのであり、この方法によるとすると被告が本件において行つたようにその後の給与からこれを差引く場合にくらべて、使用者に若干の不便の生ずることは避けがたいところであろうか、労働者の賃金を前払する以上当然のことであつて、労働基準法第二四条第一項但書の協定をすることにより、このような不便を免れる途も開かれているのである。したがつて、その月分からの減額が不能であるからといつて、同条第一項本文の適用を排除するほどの理由にはならない。現に被告自身も、前示のような減額措置をとる以前においては、原告らに対し、すでに支払つた同年四月分の給与のうち、過払となつた同月二三日分の給与額の返納を求めていたくらいである。

(ロ)、学校職員の給与に関する条例(昭和三一年九月二九日東京都条例第六八号、以下単に「給与条例」という。)第一六条第一項は、減額することのできる場合と、その減額の計算方法を定めているだけで、翌月以降の給与から減額できるとはいつていないのだから、労働基準法第二四条第一項の原則に対する特例の根拠規定となりうるものではないのである。

(ハ)、被告主張の人事院指令はなるほど被告主張のようなことを指示しているけれども、国家公務員に対しては国家公務員法の第一次改正法律すなわち昭和二三年法律第二二二号の附則第三条により労働基準法が制限された範囲で準用されるにすぎないのに、地方公務員に対しては地方公務員法第五八条により労働基準法が原則として適用されることになつているという差異があるので、両者を一律に取扱うことはできず、この指令を労働基準法第二四条の適用を受ける地方公務員に対する給与の支払の場合にそのまま引用することはできないのである。

(ニ)、調査のために長期間を要したというようなことは、全く被告の能力不足、ないしは怠慢によるものであつて、被告の主張を正当づける理由とはならないことはもちろんである。かりに給与の過払分をその後の月の給与から減額することができるとしても、それは減額すべき事由の発生した時期に密着した月に支払うべき給与から減額することができるにとどまる。労働省も「前月分の過払賃金を翌月分で精算する程度は、賃金それ自体の計算に関するものであるから、労働基準法第二四条の違反とは認められない。」(昭和二三年九月一四日基発第一三五七号)といつており、いかなる時期になつてからでも減額することを許すとなれば、使用者の一方的な判断によつて労働者が思わぬ時期に労働の対価を全額受取れないことになるからである。したがつて、原告らの無断欠勤を事由とする減額は、せめて昭和三三年五月分の給与からすべきであつて、同年八月分から減額することはどう考えても許さるべきことではない。

また被告は、本件のような減額が相殺となるにしてもそれは労働基準法第二四条第一項本文によつて禁止されるところでないと主張するが、同条項はあくまで給与の全額払の原則を定めたものであつて、その趣旨は、単に収入を量的に確保するというだけでなく、一定期間内の労働の対価が全部労働者の手に入るように、いわば質的に確保する規定と解すべきであるから、たといどのような合理的手段であるにせよ、相殺をすることは許されないのである。

原告ら訴訟代理人は、以上のとおり述べた。

立証〈省略〉。

被告指定代理人は、「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は、原告らの負担とする。」との判決を求め、「原告らが請求原因として主張する事実をすべて認める。と述べて、次のとおり抗弁した。

一、原告らは、被告の教育委員会からあらかじめ平常のとおり勤務するように命じられていたにもかかわらず、平常勤務日である昭和三三年四月二三日にこの命令を無視して欠勤した。そこで被告は、「給与条例」第一六条第一項および第二〇条の規定にもとずいて、原告らの右欠勤分の給与(別表請求金額欄のとおり。)を減額して支給することにしたが、同月分の給与はすでに同月一一日原告らに支払ずみであつたため、同年八月分の給与から減額することにし、その旨を原告らに伝えたうえで同年八月分の給与を減額し、この減額した残額を原告らに全額支払つたのである。

二、原告らが主張している原告らの給与額は、特段の事由のない限り毎月支払われるべき基準給与額のことであつて、毎月実際に支給さるべき給与というのは、ことのいかんにかかわらず一定しているというものではなく、「給与条例」第一六条第一項に規定するような減額すべき事由のあるときは、その分を減額して支給すべきものであり、その場合には、この減額された残りの金額こそ、原告らのその月に発生した給与債権なのである。そうしてその減額は、減額すべき事由の発生したその月に必ずしなければならないものではなく、その後の月であつても、合理的に接着した期間内であれば許されてよいと解すべきである。

なぜなら、

(イ)、本件のように無断欠勤した日の以前にすでに同月分の給与が支払われてしまつているような場合には、同月分の給与から減額することがもはや不能であること、

(ロ)、「給与条例」第一六条第一項は、同月分から減額しなければならない旨を制約していないこと、

(ハ)、一般職の職員の給与に関する法律第一五条は、右条例第一六条第一項と同内容のことを規定しているのであるが、同法第二条第一号の規定によつて同法の実施および技術的解釈に必要な規則、指令を発する権限を与えられている人事院が、同法の運用方針として「……減額すべき給与額は、……その次の給与期間以降の俸給および暫定手当から差し引く、」旨を指令している事実のあること、

(ニ)、昭和三三年四月二三日の無断欠勤は、原告らを含め約三〇、〇〇〇名の多きに達していたので、その調査に手まどり、できる限り、速かに減額関係の事務を処理したにもかかわらず、結局、同年八月分の給与の支給の際に行うことにならざるを得なかつたこと、

などのことがあるため、原告らに対する同年四月二三日の無断欠勤を事由とする給与の減額を、それと合理的に接着した期間内に支払われるべき同年八月分の給与から行うことは、当然許されてよいと考えられるからである。

このことは、原告らの同年八月分の給与債権が原告ら主張の全額について発生したとしても、やはり減額を正当ならしめる理由となるのである。

またもし右のような減額が、無断欠勤分の給与の返還債権を自働債権とし、同年八月分の給与債権を受働債権とする相殺になるとしても、このような相殺は、過払の月と合理的に接着した月になさる限り、現実に支払つた給与と正当に支払うべき給与との間の過不足を調整するための合理的手段であるから、労働者の賃金の確保を目的とする労働基準法第二四条第一項本文によつて禁止されるところではないと解すべきである。

三、かりに右のような減額が、同条項本文の趣旨に反するとしても、この減額は、法令の一つである。「給与条例」第一六条第一項にもとずいてされたものであるから、労働基準法第二四条第一項但書によつて許されるところである。

被告指定代理人は、以上のとおり述べた。

立証〈省略〉

理由

一、原告らが、いずれも別表のとおり東京都内の公立学校の職員であり、その給与は市町村立学校職員給与負担法第一条により 被告が負担することになつていて、昭和三三年七月までは毎月一一日に同年八月からは毎月一二日に、被告からその月分の支払がなされることになつていること、被告が原告らに対し、昭和三三年八月分の給与を同月一二日に支払うにあたり、原告らの給与から別表請求金額欄の金額をそれぞれ減額して支払つたことは、いずれも当事者間に争いがない。

二、被告は、原告らの同年八月分の給与を右のように減額して支払つたのは、原告らが同年四月二三日に無断欠勤したためすでにその前に支払ずみの同月分の給与中過払となつた分を同年八月分の給与から減額することにしたことによるものである、と主張するので、はたしてそのような減額が正当であるかどうかについて判断する。

(一)、原告らが被告の教育委員会から、平常のとおり勤務するようにあらかじめ命じられていたにもかかわらず、平常勤務日である昭和三三年四月二三日に欠勤したことは、当事者間に争いがない。そうして地方公務員法第二五条第一項によると、地方公務員の給与は条例にもとずいて支給されなければならないものであるところ、「給与条例」第一六条第一項によれば、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあつた場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二〇条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」旨が定められており、原告らの前記欠勤に被告の教育委員会の承認があつたことについて原告らはとくに争つていないので被告が原告らの同年四月分の給与から同月二三日の欠勤分の給与を減額して支払うことのできることはいうまでもない。そうして、このような場合には、その減額された残りの金額についてその月分の給与債権が発生することも、被告の主張するとおりである。けれどもその減額を、減額すべき事由の発生したその月分の給与においてしないで、その後の月に支払うべき給与からすることができるかどうかということは、地方公務員である原告らにも地方公務員法第五八条第二項により適用されるべき労働基準法第二四条の規定との関係上、おのずから別に論じなければならない問題である。

(二)、労働基準法第二四条に規定する賃金の支払に関する諸原則のうち全額払の原則の趣旨は、労働者が賃金の支払を一部留保されることにより使用者から人身を拘束される結果になることを防ぐとともに、同条が定めている賃金の直接払、毎月一定期日払等の他の原則と相まつて、労働者が使用者からいろいろな名目で賃金を差し引かれ(たとえば使用者が、積立金や貯金などの名目ではじめから賃金の一部を支払わずに保留したり、労働者に対する貸付金や立替金あるいは損害賠償債権をもつて賃金債権を相殺するなどの方法による差引を含む。)、そのため思わぬ時に僅かな額の賃金しか手に入らず、生活が経済的におびやかされる結果になることを防ぐためである。ただこの原則を貫くとなると、使用者は、労働者に支払う賃金については一切控除をすることができなくなり、まことにわずらわしく、また実情にそわない場合もおこつて来兼ねないところから、同条第一項は、本文において、賃金全額払の原則を規定しながら、その但書において、例外として、法令に別段の定めがある場合、あるいは所定のような協定がある場合に限つて、賃金の一部を控除、すなわち減額して支払うことができる旨を規定しているのである。そうだとすると、法令または右のような協定に特別の定めがない限り、たとい使用者がどんなにわずらわしくまた不便を感ずることがあつても、一たん発生した賃金債権は、その全額が労働者に支払われるべきものである。

(三)、原告らの給与は、前に判示したとおり毎月一定期日にその月分の給与が支払われることになつており、また「給与条例」第九条、第一〇条の規定によると、ある月分の給与とは、その月の勤務に対する給与であることが明らかである。したがつて原告らの昭和三三年八月分の給与債権は、同月中に無断欠勤などの給与減額事由があつた場合を除き、原告らの同月中の勤務に対して給与額の全額につき発生するものであり、原告らの同年八月分の給与債権が同年四月中に行われた無断欠勤分の給与を減額した残額についてだけしか発生していないと主張するのは全く根拠にとぼしい議論であつて、これこそ八月分の給与について一部控除が行われたことを表明する以外の何ものでもない。そうして、その一部控除が、単なる金額の差引であるか、それとも無断欠勤分による同年四月分の給与の一部についての返還債権と、同年八月分の給与債権との相殺になるかという点はしばらくおくとして、そのいずれにあたるにしろこのような減額は、労働基準法第二四条第一項但書の場合でない限り、同項本文に規定する賃金全額払の原則に違反するものとして許されないのである。

(四)、そこで本件の場合について、賃金全額払の原則の適用を排除すべき理由があるかどうかを判断することにする。

被告は、右減額は、「給与条例」第一六条第一項にもとずいてされたものであるから、法令に別段の定めがある場合として許されるところである、と主張するが、前にも判示したとおり、「給与条例」の第一六条第一項は、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあつた場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二〇条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」と規定し、職員に対し給与を減額することのできる場合と、その減額についての計算方法を定めているだけで、どの月分の給与から減額をすべきであるかということまでも規定しているのではないのである。

してみると、「給与条例」の右規定は、被告が原告らに支払うべき昭和三三年八月分の給与の一部を減額したことを正当づけるについての根拠を提供するものとは、とうてい解することができない。したがつて「給与条例」を根拠として、原告らの昭和三三年八月分の給与を減額したことが正当であるとする被告の主張は容れることができない。ほかに被告は、労働基準法第二四条第一項但書にいう法令、または協定を根拠として減額したことをなにも主張していないので、被告が叙上のとおり原告らの昭和三三年八月分の給与を一部減額して支払つたことは、違法であるといわなければならないことになる。なお被告は、本件のような減額の正当性を主張する理由として四点を挙げているので、これらの点について考える

(イ)、前に判示したところから明らかなように、原告らの昭和三三年四月分の給与は、同月二三日の無断欠勤による減額ということが考えられないまま同月一一日に前払により支払われてしまつているのであるから、被告の主張するとおり、事実上それから減額することのできないのは当然である。しかし前に判示したように、被告に原告らの無断欠勤分の給与を支払う義務がない以上、もはや減額の方法による調整の手段がないにしても、その分の給与は原告らに対して過払となつているわけであり、原告らに対して法律上その返還を求めうる途は残されているのである。ただ減額の方法をとることができれば便利だというだけのことである。真正にできたことに争いがない甲第二号証によると、現に被告は、被告の教育委員会教育長の名で、東京都内の各区市教育委員会教育長、教育庁出張所長らにあてて、昭和三四年七月二四日付書面で、原告らに対する右過払分給与については、第一次的にこれを同年七月三一日までに現金をもつて給与取扱者に返納させる取扱をするように指示するとともに、原告らが期日までに返納しなかつたときには同年八月分の給与からその額を差引くことにする旨通知していることが認められるのである。原告らに対する同年四月分の給与中過払分を事後において減額することができれば、被告にとつてまことに簡便な回収方法であるにはちがいないが、そのためには、労働基準法第二四条第一項但書に規定するような措置があらかじめ講ぜられていることが必要であり、そのような措置もしないでおいて、ただ過不足を調整するにすぎないのだから合理的に接着した時期であればいつの月の給与から減額してもかまわない、という安易な考え方のもとに減額を行うことは、前に判示したような労働基準法第二四条第一項本文の規定の趣旨にてらして、許されないものというべきである。

(ロ)、「給与条例」第一六条第一項が、被告の主張するごとく、原告らに対する昭和三三年八月分の給与の減額の正当性を裏づける根拠とならないことは、すでに判示したとおりである。

(ハ)、国家公務員について、一般職の職員の給与に関する法律第一五条が、「給与条例」第一六条第一項と同内容のことを規定していること、人事院が同法第二条第一号の規定によつて同法の実施および技術的解釈に必要な規則、指令を発する権限を与えられていることは明らかであり、真正にできたことに争いがない乙第一号証によると、人事院が同法第一五条の運用方針として、「……減額すべき給与額は、……その次の給与期間以降の俸給および暫定手当から差し引く。」旨を指令していることが認められるけれども、一般職に属する国家公務員に対しては、国家公務員法の第一次改正法律すなわち昭和二三年法律第二二二号の附則第三条により労働基準法が制限された範囲で準用されるにすぎないのに対し地方公務員に対しては、地方公務員法第五八条により労働基準法がいくつかの条項を除き原則として適用されることになつている(労働基準法第二四条は適用を除外されていない。)というように、法律上の取扱方にも差異があるところからいつても、人事院の前記指令をそのまま地方公務員の給与についての減額の場合に引用して、労働基準法第二四条第一項本文に規定する賃金全額払の原則の適用を地方公務員について排除しようとする被告の主張はとうてい是認できないのである。

(ニ)、証人下野田太郎の証言によると、昭和三三年四月二三日の東京都内の公立学校の教職員によつて行われた欠勤の関係者は、小、中学校を合せて約一、五〇〇校の教職員約三八、〇〇〇名にものぼつたため、その調査に手まどり、同年七月下旬までかかつてやつと調査が終つたので、右欠勤分の給与を同年八月分の給与から一せいに減額したことが認められ、この認定に反する証拠はないが、それだけのことでは、とうてい、原告らに対する同年八月分の給与を減額したことを適法視することはできないのである。

(五)、以上いずれの点からみても、被告が原告らの昭和三三年八月分の給与を減額したことは正当でなく、労働基準法第二四条第一項に違反する許されない行為であることが明らかである。

三、そうだとすると、被告が原告らの同年八月分の給与中、右のように減額した分(すなわち別表請求金額欄の金額。)につき、原告らは被告に対し、その支払を請求し得べき債権をもつているといわなければならない。

四、よつて原告らが被告に対し、昭和三三年八月分の給与未払分として各別表請求金額欄の金員、およびこれに対する支払日の翌日である昭和三三年八月一三日からその支払をすませる日まで民法に定められた年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は、理由があるからこれを認容することにし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、なお仮執行の宣言をつけるのは適当でないからその申立を却下することにして、主文のとおり判決する。

(裁判官 桑原正憲 石田穣一 半谷恭一)

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